滝ノ上温泉

<昭和54年発行の雫石町史『藩政下の雫石』より引用>
一部読み易いように加筆改編

 滝ノ上温泉は、発見年代が不明であるが、天和三年(1683)に葛根田川上流の北白沢入口で赤土の採掘願いが出されていること、また『金堀』と呼ばれる金山の開発された跡があること、などから天和の頃には一部の人に知られていたと思われる。しかしながら、険峻な奥地の谷間にあるため利用価値もなく、捨ておかれていたのではなかったか。
 滝ノ上温泉は、近年誰言うとなく「たきのかみ」温泉と呼んでいるが、本来は「たきのうえ」と呼んできたものである。温泉地域の各所や川床には百余に及ぶ湧き口があり、湧出量も多く、流れる川を湯の川に変え、滝ノ上温泉下流の絶壁から滝となって落下する景観は実に見事である。この滝は「鳥越の滝」(古くは「鳥声の滝」と書かれてる)と呼ばれ、この滝の上に在ることから滝ノ上温泉と呼ばれた。
 これより上流白沢にかけて山中温泉が多く、山の形、湯の湧きは『剣の如く、塩の如く、湯の如く種々ありて、田名部ウソリ山(下北半島恐山)の如し』といわれ、その様子が絵図に伝えられている。

自然環境


 温泉の周辺には、あちらこちらから蒸気が立ち昇り、四季折々見事な景観をつくっています。

登山道

十和田八幡平国立公園

 滝ノ上温泉周辺は十和田八幡平国立公園に指定されていて、広葉樹の森が広がり、野生動物も豊富に生息しています。また、南八幡平自然休養林にも指定されており、森林浴を楽しみながらの家族連れのレジャーやトレッキング、登山にも最適な場所となっています。

 滝ノ上温泉は、ここを起点とする烏帽子岳、三ツ石山等への登山口で、千沼ケ原と呼ばれる湿原では、見事な景観を楽しんだり運が良ければ珍しいモリアオガエルなども見ることができます。